登録政治資金監査人であり監査のプロである公認会計士によりクリーンかつ透明な政治をサポート

Ⅳ.政治資金監査指針

1.一般監査指針
 
(1)一般的な留意事項
 
 ○ 登録政治資金監査人が政治資金監査を行うに当たっての一般的な留意事項は、以下のとおりである。
・ 登録政治資金監査人は、政治資金制度を十分に理解するとともに、実務経験等から得られる知識の蓄積に努めること。
・ 登録政治資金監査人は、公正かつ誠実に職責を果たすとともに、政治資金監査の対象となる国会議員関係政治団体との間に密接な身分関係を有してはならないこと。
・ 登録政治資金監査人は、予断や予見を持つことなく職業的専門家として政治資金監査を行わなければならないこと。
・ 登録政治資金監査人は、正当な理由がなく、政治資金監査の業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならないこと(法第19条の28第1項)。
・ 登録政治資金監査人は、使用人等に対して、その職務の遂行上適切な指示、指導及び監督を行わなければならないこと。
 
(2)調査方法
 
○ 政治資金監査の調査方法については、会計帳簿等から一定数を抽出するのではなく、全数を調査しなければならないこと。したがって、会計帳簿と領収書等との突合については、会計帳簿とすべての領収書等とを突合させることが必要であること。
 
○ 政治資金監査は、原則として、国会議員関係政治団体の事務所で行わなければならないこと。
 
○ 政治資金監査においては、会計帳簿等の関係書類については、その現物を確認しなければならないこと。したがって、領収書等についても、領収書等の写しではなく、領収書等の現物を確認しなければならないこと。
 
(3)政治資金監査契約の締結
 
 ○ 円滑に政治資金監査を行うため、書面により政治資金監査契約を締結すること。
 
 ○ 政治資金監査契約の締結の時期は、政治資金監査対象年の開始前又は年の途中であっても差し支えないものであること。
 
○ 政治資金監査契約の締結に当たっては、「政治資金監査実施要領」の「政治資金監査契約の締結に当たっての留意事項」を参考にすること。
 
(4)政治資金監査の事前準備
 
 ○ 現場での政治資金監査に先立って準備が必要な事項は、以下のとおりである。
・ 書面監査及び会計責任者等に対するヒアリングを実施する日時、場所、期間及び双方の体制(人数等)について、国会議員関係政治団体と合意しておくこと。
・ 政治資金監査に使用人等を使用する場合は、使用人等に対して政治資金監査の方法や、使用人等にも秘密保持義務が課せられていることを十分に理解させること。
 
 ○ 円滑に政治資金監査を行うため、国会議員関係政治団体に対し、以下の事項を要請すること。
  ・ 会計帳簿や領収書等を複数の事務所において管理している場合には、書面監査を行う事務所に集約すること。
  ・ 領収書等を支出項目別及び年月日順に整理するなど、政治資金監査を受ける体制を整備すること。
 
○ 円滑な政治資金監査を行う上で必要がある場合には、政治資金監査対象年の開始前又は年の途中において、会計帳簿の記載や領収書等の保存等の会計事務について、必要な助言等を行っても差し支えないものであること。
2.個別監査指針
 
(1)法第19条の13第2項第1号に掲げる事項
 
一 会計帳簿、明細書、領収書等、領収書等を徴し難かつた支出の明細書等及び振込明細書が保存されていること。
 


 
○ 保存対象となる会計帳簿等の関係書類について、これらの保存対象書類の一覧表の作成を会計責任者に求め、一覧表と保存対象書類の現物とを照合すること。
 
○ なお、保存されているかどうかの確認を行う対象となる会計帳簿等の関係書類は、政治資金監査対象年に係る会計帳簿等の関係書類であり、政治資金監査対象年の過去3年に係る会計帳簿等の関係書類ではないことに留意すること。
 
(2)法第19条の13第2項第2号に掲げる事項
 
二 会計帳簿には当該国会議員関係政治団体に係るその年における支出の状況が記載されており、かつ、当該国会議員関係政治団体の会計責任者が当該会計帳簿を備えていること。
 


 
○ 国会議員関係政治団体の会計責任者は、会計帳簿を備え、これにすべての支出並びに支出を受けた者の氏名及び住所並びにその支出の目的、金額及び年月日を記載しなければならないこととされている(法第9条第1項)。
 
○ 会計帳簿とすべての領収書等とを突合し、領収書等の必要記載事項(支出の目的、金額及び年月日)と会計帳簿の記載事項とが整合的であるかどうかを確認するとともに、会計帳簿に必要記載事項が記載されているかどうかを確認すること。
 
○ 領収書等の徴収漏れ又は亡失により、領収書等がなく、また、領収書等を徴し難かった支出の明細書にも記載されない支出については、これらの支出の一覧表の提出を会計責任者に求めること。
 
○ 人件費については、領収書等又は振込明細書及び振込明細書に係る支出目的書により、支出の状況を確認すること。また、これらの書類で支出の状況が確認できない場合には、賃金台帳、源泉徴収簿等により、支出の状況を確認すること。
 
○ 領収書等の確認に当たっては、「政治資金監査実施要領」の「領収書等の確認に当たっての留意事項」を参考にすること。
 
○ 会計帳簿に計算誤りがないかどうかを検算して確認すること。
 
○ 会計帳簿が、当該国会議員関係政治団体の会計責任者の管理の下におかれているかどうかを確認すること。
 
(3)法第19条の13第2項第3号に掲げる事項
 
三 第十二条第一項又は第十七条第一項の報告書は、会計帳簿、明細書、領収書等、領収書等を徴し難かつた支出の明細書等及び振込明細書に基づいて支出の状況が表示されていること。
 


 
○ 国会議員関係政治団体の会計責任者は、すべての支出について、その総額及び支出項目別の金額並びに人件費以外の経費の支出(1件当たりの金額が1万円を超えるものに限る。)について、その支出を受けた者の氏名及び住所並びに当該支出の目的、金額及び年月日を記載した収支報告書を提出しなければならないこととされている(法第12条第1項・第17条第1項・第19条の10)。
 
○ 領収書等及び領収書等を徴し難かった支出の明細書等との突合による確認を行った会計帳簿から、収支報告書に記載すべき事項(人件費以外の経費の支出(1件当たりの金額が1万円を超えるもの))が漏れなく転記されているかどうかを確認すること。
 
○ 収支報告書に必要記載事項が記載されているかどうかを確認すること。
 
○ 収支報告書に計算誤りがないかどうかを検算して確認すること。
 
(4)法第19条の13第2項第4号に掲げる事項
 
四 領収書等を徴し難かつた支出の明細書等は、会計帳簿に基づいて記載されていること。
 


 
○ 国会議員関係政治団体の会計責任者は、当該国会議員関係政治団体が行った支出のうち領収書等を徴し難い事情があったものについては、その旨並びに当該支出の目的、金額及び年月日を記載した領収書等を徴し難かった支出の明細書(振込明細書があるときにあっては、当該支出の目的を記載した書面)を作成しなければならないこととされている(法第19条の11第1項)。
 
○ 領収書等を徴し難かった支出の明細書等と会計帳簿とを突合し、記載不備がないかどうかを確認すること。なお、一度発行された領収書等の亡失は、領収書等を徴し難い事情には含まれないことに留意すること。
 
○ 領収書等を徴し難かった支出の明細書等に必要記載事項が記載されているかどうかを確認すること。
 
(5)会計責任者等に対するヒアリング
 
○ 法第19条の13第2項各号に掲げられた事項についての書類の確認(以下「書面監査」という。)を行ったあとに、以下に掲げる事項について、「政治資金監査実施要領」の「会計責任者等に対するヒアリングに当たっての留意事項」により、会計責任者等に対しヒアリングを行うこと。
 ・ 会計処理方法
 ・ 支出項目の区分の分類
 ・ 領収書等の亡失等により、書面監査では支出の状況が確認できなかったもの
 ・ 収支報告の適正を確保するため、書面監査に加えて、支出の状況の詳細を確認する必要があるもの
 
 
○ 会計責任者等に対するヒアリングは、原則として、会計責任者本人に対し行わなければならないが、会計責任者が対応することができない特段の理由がある場合には、会計責任者の職務代行者に対し行っても差し支えないものであること。なお、会計責任者の職務を補佐する者が、会計責任者等に対するヒアリングに同席し、登録政治資金監査人からの質問に回答することは差し支えないものであること。
 
○ 会計責任者等に対するヒアリングについては、必ず登録政治資金監査人が行わなければならず、使用人等のみで行ってはならないこと。
 
 
Ⅴ.政治資金監査報告書
 
○ 登録政治資金監査人は、政治資金監査を行ったときは、政治資金監査報告書を作成しなければならない(法第19条の13第3項)。
 
1.
政治資金監査報告書の記載事項

 

 
○ 政治資金監査報告書の記載事項は、以下のとおり規定されている(規則第○条)。
 ・ 表題(「政治資金監査報告書」)
 ・ 日付
 ・ 宛先
 ・ 登録政治資金監査人の氏名、登録番号及び研修の修了日
 ・ 監査の概要
 ・ 監査の結果
 ・ 業務制限
 
2.
政治資金監査報告書作成に当たっての留意事項 

 
○ 政治資金監査報告書は、国会議員関係政治団体の会計責任者が都道府県の選挙管理委員会又は総務大臣に収支報告書を提出するときに、併せて提出されるものであること(法第19条の14)。
 
○ 都道府県の選挙管理委員会又は総務大臣に提出された政治資金監査報告書は、これらを受理した総務大臣又は都道府県の選挙管理委員会において、当該政治資金監査報告書に係る収支報告書の要旨が公表された日から3年を経過する日まで保存されるとともに、何人も、この期間、政治資金監査報告書の閲覧又は写しの交付を請求することができるものであること(法第20条の2第1項・第2項)。
 
○ 政治資金監査報告書の日付は、登録政治資金監査人の責任の範囲に関わる重要事項であり、登録政治資金監査人が自らの責任において政治資金監査が終了したと判断したときの日付とすべきであり、通常の場合には、書面監査及び会計責任者等に対するヒアリングの終了した日となること。
 
○ 政治資金監査報告書の宛先は、政治資金監査を受けた国会議員関係政治団体の代表者宛とすること。


 
○ 政治資金監査報告書の監査の概要は、以下に掲げる事項を記載すること。
・ 監査の根拠規定
・ 監査の対象書類と対象期間
・ 実施した基準
・ 責任の所在と範囲
 
○ 監査の根拠規定については、当該政治資金監査が「法第19条の13第1項の規定に基づく」監査である旨を記載すること。
 
○ 監査の対象書類については、監査の対象となった収支報告書等の対象書類を記載すること。また、対象期間については、監査の対象となった収支報告書等に係る会計の開始日と終了日を記載すること。
 
○ 実施した基準については、「政治資金監査に関する具体的な指針(政治資金監査マニュアル)」に基づき、政治資金監査を実施した旨を記載すること。
 
○ 責任の所在と範囲については、国会議員関係政治団体の会計責任者と登録政治資金監査人との関係や役割分担を明確にするため、政治資金規正法によりそれぞれが負う責任の範囲を記載すること。
 
○ 政治資金監査報告書の監査の結果は、政治資金監査マニュアルに基づき書面監査及び会計責任者等に対するヒアリングを実施した結果を記載すること。
 
○ 政治資金監査報告書の業務制限は、登録政治資金監査人が法第19条の13第5項及び規則第○条に規定する一定の関係を国会議員関係政治団体と有していないことを記載するものであること。また、政治資金監査の業務を補助した使用人等についても、同様の関係を有しない場合には、その旨を記載することが望ましいものであること。
 
○ このほか、政治資金監査報告書の作成に当たっては、「政治資金監査実施要領」の「政治資金監査報告書記載要領」によること。